安否確認システムを導入する際に注意するべきポイントとは?

公開日:2022/05/12  

地震や台風などの自然災害のリスクは企業の努力では回避できませんが、事前に対策しておくことで適切な初動対応が取れ損失を最小限に抑えることができます。企業がとる対策としては災害発生時に効率よく安否確認ができるシステムの導入が効果的です。ここでは安否確認システムを導入する際に押さえておくべきポイントをご説明します。

企業内で安否確認を行う理由

企業が従業員の安否確認を行う理由のひとつに従業員とその家族や家屋の状況把握があげられます。安否確認を行うことで従業員一人一人に対して安全に出社できる状態か、無理なく仕事が進められる状況かの判断ができるようになります。

また、コンプライアンスにおいても安否の確認は大切です。企業には従業員が安全で健康に働けるように配慮する義務である安全配慮義務があり、働ける状態にない従業員を無理に出社させることは法令違反となるからです。

安否確認を行うもう一つの理由は災害時における事業継続、再開の可否を判断しやすくすることです。自然災害や最近では感染症の急拡大などにより、業種や業態によっては相当なダメージを被りますが、経営陣は事業の存続が危うくならないように早期の対策を迫られることになります。

緊急事態発生時の事業継続計画のことを、BCPBusinessContinuityPlan)と呼び、このBCPにおける判断材料の1つとなるのが従業員の安否です。従業員の状況が判断できれば、事業の方針転換、進め方や段取り、チーム編成などが判断しやすくなり、結果として災害による損失を最小限に抑えることにつながるでしょう。

日本は地震や台風といった自然災害が多いので、いかなる時でも全従業員の安否を迅速に確認できるシステムを導入しておくことが重要といえます。

従業員の安否確認を行う方法

安否確認には既存の連絡方法や安否確認システムなどのツールも含めて5つの手段があります。以下にそれぞれの特徴についてご説明します。

安否確認システム

メールアドレスを登録しておくことで災害発生時に全従業員一斉に自動配信で連絡することが可能です。全従業員が同じ項目を一斉に返信することで、迅速且つ効率的に安否確認に必要な情報を集めることができ、セキュリティレベルが高いことも特長です。導入するには費用が掛かりますが定期的にテスト配信をするだけで従業員に周知でき、運用面でも使い勝手のよいシステムといえるでしょう。

電話・メール

停電の際にも利用しやすく導入費用も掛かりませんが、報告形式が統一されていないため情報収集が煩雑になり、集計にも時間がかかります。多くの従業員の状況を一斉に、且つ早く把握する必要がある場合にはあまり有効ではないといえるでしょう。

SNS

電話やメールと同様既存のツールのため導入費用が掛かりませんが、プライベートのアカウントを使用することは望ましくなく、従業員にとっても抵抗感があるでしょう。

ビジネスチャット

従業員ごとに迅速な情報収集ができますが、GPSや自動発信といった緊急時の連絡に有効な機能が使えず、導入費用も掛かります。

このように従業員との連絡手段にはそれぞれにメリットとデメリットがあります。従業員数が少ない場合は電話やメールでも状況把握ができるかもしれませんが、やはり効率的ではありません。従業員数が多くなるとなおさらで、情報収集と集計に相当な時間がかかるでしょう。

安否確認システムであれば必要な工程をほぼ自動化できるため、災害時の緊急性を考慮すると安否確認システムを導入することが最も利便性が高くベストな選択といえます。

安否確認システムを導入する際に注意するべきポイント

ここでは安否確認システムを導入する際の注意点についてご説明します。

安否確認の連絡手段は統一する

安否確認システムの導入後、非常時には以前使用していた連絡手段を一切使用せずシステムだけを使用すべきです。電話やメールも併用できるルールにしてしまうと結局は状況把握に時間がかかってしまい、迅速な対応ができるというシステムのメリットが活かされないからです。

いざという時に備えて訓練を行う

災害の発生は予測できないため、いざ発生した際にシステムをスムーズに使えるように普段から訓練しておく必要がります。ダミーの災害報をテスト配信した際に全従業員が滞りなく返信できるようになるまで定期的に訓練することで、より確実性の高いデータが収集できるようになります。

発生時の初動対応を決めておく

安否確認システムを利用すれば効率よく従業員の状況が把握できますが、それだけだと単に状況把握ができたということにすぎません。最も重要なことは安否確認の結果やその他の被害状況を総合的に判断したうえで適切な初動対応を取ることです。そのためには安否確認の結果に応じた初動対応のパターンをあらかじめ想定しておくことが大切です。

 

自然災害が多い日本では、災害時の対応を整備しておくことは重要なリスクマネジメントの一つです。有事の際の従業員の状況把握に最適な安否確認システムを導入することは、従業員の安全を守ることや企業への損害を最小限に抑えることにつながり、事業継続計画の強化にも寄与するでしょう。

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